入浴によって得られる作用

温かいお湯に入ると、誰でもリラックスした気分になれます。これは、入浴することにより、身体に3つの物理作用(温熱・水圧及び浮力)が働くためです。
効果的な入浴方法とは、この身体に作用する3つの物理作用を上手に利用することです。
身体に作用する3つの物理作用について、以下簡単に紹介いたします。

1.温熱作用

  • 高温浴(42~44℃)の場合
    交感神経の緊張を促し、活動的にします。
  • 微温浴(35~38℃)の場合
    副交感神経が働いて精神的にも安らぎ、落ち着いた気分になれます。

2.水圧作用

水中では身体が小さくなります。

浴槽中で
  • 胴回りは3〜6cm小さくなる
  • 胸回りは1〜3cm小さくなる

腹部に受ける圧力で、横隔膜(肺とお腹の境にある膜)が上に押し上げられ、肺の容量が少なくなり空気の量が減少します。これを補おうとして呼吸数が増え、一方静脈の血液やリンパ液がいっせいに心臓に戻されてくるので、心臓の働きが活発になり全身の血行が良くなります。

3.浮力作用

お湯に入ると身体は、浮力を受けて軽くなります。
(アルキメデスの原理)

水中では空気中に比べて約1/9程度の重さになります。水やお湯の中では、身体を支えるため緊張していた筋肉もほぐれ、また、水の抵抗も加わるので筋肉の増強に向いています。この原理が、いろいろな病気や障害の治療に応用されています。
身体が軽くなるので、だるさを感じなくなり心身共にリラックスできます。

以上3つの物理作用について簡単に紹介しましたが、ひと口にお風呂といっても、温度や時間、湯の量によって身体に及ぼす影響はさまざまです。熱い湯は交感神経を刺激して身も心も緊張します。逆に湯がぬるければ、心身はゆるんできます。お風呂好きといわれる日本人ですが、漫然と入るのではなく、目的にあった効果的な入浴法を心得て入ることが大切です。
目的別の効果的な入浴法をまとめましたので、参考にしてください。

目的別の効果的な入浴法

目的 効果的な入浴法 主な作用
ストレスを解消したい時 40℃以下のお湯に、ゆっくりと長くつかるとよい。 ぬるい湯は副交感神経優位で、心身を鎮静させる作用がある。
安眠したい時 一般的には、38~40℃のぬるめの湯にゆっくり入るとよい。 身体の緊張が取れて、本来の疲れがどっと表に出てくる。神経は鎮静化。
これからひと仕事したい時 42~43℃の熱いお湯に短時間。長湯は厳禁。 交感神経を刺激して、心身の緊張を高めるため活動的な気分になれる。
足のむくみ、足の疲れを取りたい時 40℃前後のややぬるめで、たっぷり入れた湯に、深く、長く入る。 水圧の原理を生かす。深くつかるほど圧力は高くなる。但し、おなかにも圧力がかかるので、妊娠中は避ける。
筋肉の疲れを取りたい時 42~43℃の熱めの湯に入る。血圧や心臓に自信のある人は、一度出て水をかけ、再び入るのもよい。強めのシャワーを当てるのも効果がある。 血行をよくして、疲労物質を早く取り除く効果がある。
肌を美しくしたい時 一番風呂は避ける。40℃前後の、ややぬるめの湯のほうがよい。あまり長時間入って肌をふやけさせないこと。 熱い湯に入ると保湿成分が皮膚から溶け出してしまい、皮膚を乾燥させる。あまり石鹸でゴシゴシこすらないこと。入浴後は、保湿クリームの補充を十分に。